ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 リーゼロッテは帰郷を前に、ジークヴァルトと共に力を制御する特訓を続けていた。そのかいあってか、最初の頃に比べてほんのわずかな力なら、ひとりでも集められるようになってきている。

 最終日の今日も王太子専用の応接室のソファに座って、リーゼロッテは特訓に励んでいた。そんなリーゼロッテを監督しつつ、ジークヴァルトはその横で山のような書類仕事を片付けている。

 そんな時にカイが久しぶりに顔を出して、いつもように紅茶を淹れてくれたのだった。

「明日は早く出るの?」

 カイの問いかけに、いいえとリーゼロッテはかぶりを振った。

「領地まで馬車で三時間程度ですので、朝食はゆっくりといただけますわ」
「そっか。でも、なんだかさみしくなるね」

 カイのその言葉に、リーゼロッテはゆっくりとカイの方へ顔を向けた。

「わたくし、カイ様の淹れてくださるこの紅茶、やさしい味がして大好きですわ」

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