ふたつ名の令嬢と龍の託宣
リーゼロッテが応接室をみやると、飾られていた花瓶や絵画、時計など、いろんなものが床に落ちたり傾いたり、部屋の中は散々な状態になっていた。
ジークヴァルトが合間に確認していた書類の束も床に落ちて散乱している。
(いけない、大事な書類が)
リーゼロッテは散らばった紙を集め、テーブルの上に戻そうとした。幸い、こぼれた紅茶で濡れてしまったりはしていなかった。
ふと一枚の書類に目が止まる。内容はちんぷんかんぷんだったが、長い文章の最後に書かれた署名を見て、リーゼロッテは目を見開いた。少しクセのあるその文字に、リーゼロッテは見覚えがあったからだ。
『S.Hugenberg』と書かれた署名の筆跡を凝視する。その筆跡はリーゼロッテが子供のころにもらった前公爵ジークフリートの手紙と同じものだった。
ふと、昨日のエラとのやり取りが脳裏をかすめる。
ジークフリートに贈ったと思っていたハンカチが、ジークヴァルトの手に渡っていた。なぜ、そうなったのか。その答えがこれならば、全てつじつまがあってしまう。
「あの、ジークヴァルト様」
ギギギと油の切れたブリキのおもちゃのように、リーゼロッテはジークヴァルトを振り返った。
ジークヴァルトが合間に確認していた書類の束も床に落ちて散乱している。
(いけない、大事な書類が)
リーゼロッテは散らばった紙を集め、テーブルの上に戻そうとした。幸い、こぼれた紅茶で濡れてしまったりはしていなかった。
ふと一枚の書類に目が止まる。内容はちんぷんかんぷんだったが、長い文章の最後に書かれた署名を見て、リーゼロッテは目を見開いた。少しクセのあるその文字に、リーゼロッテは見覚えがあったからだ。
『S.Hugenberg』と書かれた署名の筆跡を凝視する。その筆跡はリーゼロッテが子供のころにもらった前公爵ジークフリートの手紙と同じものだった。
ふと、昨日のエラとのやり取りが脳裏をかすめる。
ジークフリートに贈ったと思っていたハンカチが、ジークヴァルトの手に渡っていた。なぜ、そうなったのか。その答えがこれならば、全てつじつまがあってしまう。
「あの、ジークヴァルト様」
ギギギと油の切れたブリキのおもちゃのように、リーゼロッテはジークヴァルトを振り返った。