ふたつ名の令嬢と龍の託宣
◇
王妃の離宮を出て足早に王城の廊下を進んでいたカイは、廊下の向こう側から幽霊のような顔をした令嬢がひとり歩いてくるのが目に入った。
そこそこ遅い時間だ。訝し気に近づくと、それがアンネマリーであることにカイは気がついた。
「アンネマリー嬢?」
いつもの彼女では考えられないような弱々しい姿に、カイは目を見張った。ただ事ではないと感じ、人目につかない廊下の先へと彼女をいざなった。
「カイ様……?」
生気のない瞳でカイの姿を認めると、その直後アンネマリーは大粒の涙をこぼし始めた。
(ああ、これは……ハインリヒ様がらみだな)
そう思うと、先ほど王妃から聞いた話を思い出し、そういうことかと納得がいった。まさにイジドーラが恐れていた展開だ。
(……王もひどいことをする)
――王子がどんな選択をするかなんて、王には分かっていただろうに。
王妃の離宮を出て足早に王城の廊下を進んでいたカイは、廊下の向こう側から幽霊のような顔をした令嬢がひとり歩いてくるのが目に入った。
そこそこ遅い時間だ。訝し気に近づくと、それがアンネマリーであることにカイは気がついた。
「アンネマリー嬢?」
いつもの彼女では考えられないような弱々しい姿に、カイは目を見張った。ただ事ではないと感じ、人目につかない廊下の先へと彼女をいざなった。
「カイ様……?」
生気のない瞳でカイの姿を認めると、その直後アンネマリーは大粒の涙をこぼし始めた。
(ああ、これは……ハインリヒ様がらみだな)
そう思うと、先ほど王妃から聞いた話を思い出し、そういうことかと納得がいった。まさにイジドーラが恐れていた展開だ。
(……王もひどいことをする)
――王子がどんな選択をするかなんて、王には分かっていただろうに。