ふたつ名の令嬢と龍の託宣
ふいにハインリヒ王子の視線が、リーゼロッテたちのいる方に向いた。王子は少し戸惑うような表情をみせ、先ほどよりも真剣なまなざしで、斜め後ろに立っているジークヴァルトに何事か話しかけた。
遠すぎて会話などは聞こえないが、王子がこちらの方向を指さしている。ジークヴァルトが王子の指さす方を見やると、彼は驚いたように息をのんだ。
「あら、王子殿下が騎士様に何かご命令をお出しになったのかしら」
ヤスミンが緊張感のない声でつぶやいた。
「リーゼ……? あなた、どうしたの!?」
今にも倒れそうなリーゼロッテに気がついたアンネマリーが、慌ててその体を支える。リーゼロッテは真っ青な顔で、小さな唇を震わせていた。
「いや、こないで」
どこか焦点のあわない目をして、譫言のようにつぶやいた。
遠すぎて会話などは聞こえないが、王子がこちらの方向を指さしている。ジークヴァルトが王子の指さす方を見やると、彼は驚いたように息をのんだ。
「あら、王子殿下が騎士様に何かご命令をお出しになったのかしら」
ヤスミンが緊張感のない声でつぶやいた。
「リーゼ……? あなた、どうしたの!?」
今にも倒れそうなリーゼロッテに気がついたアンネマリーが、慌ててその体を支える。リーゼロッテは真っ青な顔で、小さな唇を震わせていた。
「いや、こないで」
どこか焦点のあわない目をして、譫言のようにつぶやいた。