ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 内心冷や汗をかきながら、無理な姿勢に体がプルプルし始めたとき、女性騎士は青い片目を見開いて、「かっ」と大きな声を上げた。

 怒らせてしまったのかと体を震わせたリーゼロッテは、次の瞬間には、再び女性騎士の腕の中にかき抱かれていた。すりすりと頬ずりまでされている。

「かわいー! 何この()、可愛すぎるわ。持って帰りたい、いいかしら?」
「いいわけあるか」

 ジークヴァルトがあきれたように言い、再びリーゼロッテを奪い返した。

「ああん、もう、心の狭い男ね! そんなんじゃリーゼロッテに嫌われるわよ!」

 姉弟のやり取りにリーゼロッテは呆然としていたが、後ろで控える他の騎士たちはその様子を黙って見守っている。とりたてて珍しい光景ではないということだろうか。

「ああ、ごめんなさいね。わたしはアデライーデ。ジークヴァルトの姉よ。一応は公爵令嬢だけど、今は騎士として働いているわ」
「アデライーデ様」

 ようやく名前が知れてリーゼロッテは、アデライーデに淑女の微笑みを向けた。

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