ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 まずはドレスの部屋から足を踏み入れる。そこは几帳面なエラらしく、きれいに整理整頓されていた。

「こちらのドレスは、公爵様が爵位をお継ぎになってはじめて贈られたドレスでございます。こちらはお嬢様が十二歳のお誕生日に頂いたもので、こちらは……」

 贈り物の数々に、リーゼロッテは呆気に取られていた。

「待ってちょうだい、エラ」

 説明を遮る主人に、エラは素直にその口を閉じた。

「これは本当にジークヴァルト様が、全部……?」
「はい、頂いた順番に目録も作っておりますので、ご確認なさいますか?」

 リーゼロッテは絶句した。贈り物のたびにお礼の手紙を書いていたものの、実際にもらったものを目の前にすると、リーゼロッテは良心の呵責を感じてしまった。

(うう、怖かったのは事実だけど、こんなにたくさん贈ってもらっていたなんて)

 アクセサリーなどは、今からでもありがたく使わせてもらえそうだ。しかし、ドレスは?

 そう思ったが、三年前のドレスが着られたぐらいだ。二年前に採寸したドレスも楽勝で着られるだろう。

(幼児体型バンザイね。今ほど寸胴体型に感謝したことはないわ)

 自分で言っていて悲しくなったが、今まで放置されていた贈り物は、これからしっかり使わせてもらおうとリーゼロッテは思った。

(まあ、どうせ、使用人が選んだのでしょうけど)

 贈られた品々は上質で、どれもリーゼロッテの趣味に合うものばかりだった。とてもあのデリカシーのないジークヴァルトが選んだとは思えなかった。

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