ふたつ名の令嬢と龍の託宣
(まずはアデライーデ様に相談してみようかしら……?)

 アデライーデも龍の託宣や異形の者のことは承知しているので、何か困ったことがあったら遠慮なく相談するよう言われていた。こういうことは女性の方が話しやすいと思い、リーゼロッテは後で彼女に聞いてみることにした。

 アデライーデは、異形を祓う力も持っている。ダーミッシュ家は力あるものが一人もいないため、アデライーデが異形対策としてしばらく伯爵家に滞在することになっていた。

 それが王の勅命だと聞かされたリーゼロッテは、王城の廊下で会ったディートリヒ王の瞳を思い出す。金色の、すべてを見透かされてしまいそうな、そんなこと思わせる瞳だった。

 ジークヴァルトは王城に詰めて王太子の警護や政務の補佐を行う一方、公爵領主を務める多忙な身だ。王城から騎士をつけてくれたのは、そんな事情をくみ取ってのことだろう。

 わざわざ女性騎士、しかもジークヴァルトの身内を派遣してくれた王の気遣いに、キュプカーの言うように、王はやさしい方なのだとリーゼロッテは思った。

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