ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 次にリーゼロッテは、もう一つの贈り物専用の部屋を覗いてみた。

 ドレスや小物以外の贈り物と聞いて、一体何があるのか足を踏み入れる。
そこには鏡台や繊細な置時計、文机とそのお揃いの椅子、シェード付きのランプ、絵画や花瓶など、お姫様の部屋が作れるのではないかというような可愛らしい調度品で埋め尽くされていた。どれも統一感のある、立派な作りのものだった。

「エラ、わたくし、このようなものをジークヴァルト様から頂いたことは聞いてないわ」

 呆然と問いかけるリーゼロッテに、エラは申し訳なさそうに答えた。

「こちらは旦那様に、お嬢様には伝えないよう言われておりました」

 以前の生活では、リーゼロッテのこれらの調度品は危険すぎて部屋に飾ることはできなかっただろう。なまじ、リーゼロッテ好みの可愛らしい調度品だったから、義父はリーゼロッテが落ち込まないよう気を使ったのかもしれない。

 リーゼロッテは義父に頼み、これを部屋に運んでもらおうと心に決めた。今のリーゼロッテなら、問題なく生活できるはずだ。

(でも、どうしてどれもわたし好みのものなのかしら?)

 質素な生活を受け入れつつ、せっかく令嬢に生まれ変わったのだから、やはりお姫様のようなインテリアにあこがれていたのだ。

 ジークヴァルトにあらためてお礼の手紙を書こうと、リーゼロッテはそう思った。

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