ふたつ名の令嬢と龍の託宣
リーゼロッテと会話をしていると、ほとんどと言っていいほど、彼女は異形の者や龍の託宣に関する知識がないようだった。
アデライーデ自身は託宣を受けた身ではなかったが、フーゲンベルク家は長い歴史の中、繰り返し龍から託宣を賜わってきた。そしてアデライーデは、両親やジークヴァルトの抱える苦労を目の当たりにしながら育ってきた。
使用人でも託宣のことを承知している者は少なからずいるし、異形に対する知識も浄化の力も、誰に教わらなくとも自然と身につく環境だった。
リーゼロッテも本来なら、ラウエンシュタイン公爵家の令嬢として、同じような環境で育つはずだったろう。しかし、実際は無知なる者に囲まれ、世間と隔絶されてここまで来た。
報告書を見てアデライーデは、蝶よ花よと育てられた世間知らずで我が儘な令嬢を思い浮かべたが、リーゼロッテはジークヴァルトにはもったいないくらい、素直で可愛いらしい令嬢だった。
世間知らずなのには間違いないが、リーゼロッテには少ない情報で物事を理解する聡さがあった。妙に達観した、あきらめにも似た素直さが、アデライーデとしては気になるところでもあったのだが。
彼女の今までの環境がそうさせているのだろうか? リーゼロッテは最近まで、異形に憑かれ、不自由な生活を送っていたと聞く。
アデライーデ自身は託宣を受けた身ではなかったが、フーゲンベルク家は長い歴史の中、繰り返し龍から託宣を賜わってきた。そしてアデライーデは、両親やジークヴァルトの抱える苦労を目の当たりにしながら育ってきた。
使用人でも託宣のことを承知している者は少なからずいるし、異形に対する知識も浄化の力も、誰に教わらなくとも自然と身につく環境だった。
リーゼロッテも本来なら、ラウエンシュタイン公爵家の令嬢として、同じような環境で育つはずだったろう。しかし、実際は無知なる者に囲まれ、世間と隔絶されてここまで来た。
報告書を見てアデライーデは、蝶よ花よと育てられた世間知らずで我が儘な令嬢を思い浮かべたが、リーゼロッテはジークヴァルトにはもったいないくらい、素直で可愛いらしい令嬢だった。
世間知らずなのには間違いないが、リーゼロッテには少ない情報で物事を理解する聡さがあった。妙に達観した、あきらめにも似た素直さが、アデライーデとしては気になるところでもあったのだが。
彼女の今までの環境がそうさせているのだろうか? リーゼロッテは最近まで、異形に憑かれ、不自由な生活を送っていたと聞く。