ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
 リーゼロッテは、自室を見回して、ほうとため息をついた。

 義父のフーゴにお願いして、ジークヴァルトから贈られた調度品の数々を、部屋に運んでもらったのだ。

(お姫様の部屋みたい……!)

 王城のアンネマリーの客間のような豪華さはなかったが、年頃の女の子があこがれそうなフェミニンな家具で埋め尽くされている。ふたたびリーゼロッテは、ほうとため息をついた。

 その姿を見ていたエラは、うれしそうに涙ぐんでいる。

 質素な生活を強いられていたリーゼロッテが、奇病にかかっていたと知らされたときは、エラは心臓が凍るかと思った。大事なリーゼロッテが苦しんでいることに気づけなかった自分が許せなかったし、今でも許せないでいる。

 そんなリーゼロッテを救ってくれた、王家と公爵家に、エラはいくら感謝してもしたりないと感じていた。

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