ふたつ名の令嬢と龍の託宣
とはいえ、スタートラインが遅いリーゼロッテは、さらに苦労しそうだとは、アデライーデは言えなかったのだが。そこはそれ、本人にがんばってもらうしかなかった。
「そうね、とりあえず……日中はそのご立派な首飾りの守り石をつけて、眠るときは今まで通りペンダントをつけるというのはどうかしら? そのたいそうご立派な肩の凝りそうな首飾りは、室内ではメチャクチャ浮きそうだけど、それはヴァルトのせいだから、後でしばき倒すなり好きなものを買わせるなりするといいわ」
アデライーデの言葉に、リーゼロッテは苦笑した。遠慮なく言い合える姉弟の関係が、自分とルカとはまた違った形でなんだか微笑ましい。
そんなリーゼロッテに、アデライーデは言葉を続けた。
「それとも、首飾りからこの守り石だけはずしてペンダントに作り直す? やろうと思えば、すぐはずせそうだし」
「そんな、いけませんわ。せっかくいただいた首飾りですし」
慌ててそう言ったリーゼロッテに、アデライーデは微笑んだ。
(ちゃんと喜んでもらえてるようよ、弟よ)
社交デビューを控えた婚約者に贈るプレゼントとしては及第点だったが、その使い道で落第確定だ。
だが、残念な朴念仁に育ってしまった弟にしては、頑張っている方ではないだろうか。アデライーデは、リーゼロッテの部屋を見回しながらそんなことを思っていた。
リーゼロッテの部屋の調度品からは、ジークヴァルトの力が感じられていた。それなりにリーゼロッテを守ろうと努力していることは認めてやらなくもない。
そんなふうに思う自分は意外と弟に甘いのかもしれない。ジークヴァルトに甘えられたことは一度たりとてないが、甘やかされた記憶ならアデライーデにもあった。
そんなとき、リーゼロッテの部屋に家令のダニエルがやってきた。
「そうね、とりあえず……日中はそのご立派な首飾りの守り石をつけて、眠るときは今まで通りペンダントをつけるというのはどうかしら? そのたいそうご立派な肩の凝りそうな首飾りは、室内ではメチャクチャ浮きそうだけど、それはヴァルトのせいだから、後でしばき倒すなり好きなものを買わせるなりするといいわ」
アデライーデの言葉に、リーゼロッテは苦笑した。遠慮なく言い合える姉弟の関係が、自分とルカとはまた違った形でなんだか微笑ましい。
そんなリーゼロッテに、アデライーデは言葉を続けた。
「それとも、首飾りからこの守り石だけはずしてペンダントに作り直す? やろうと思えば、すぐはずせそうだし」
「そんな、いけませんわ。せっかくいただいた首飾りですし」
慌ててそう言ったリーゼロッテに、アデライーデは微笑んだ。
(ちゃんと喜んでもらえてるようよ、弟よ)
社交デビューを控えた婚約者に贈るプレゼントとしては及第点だったが、その使い道で落第確定だ。
だが、残念な朴念仁に育ってしまった弟にしては、頑張っている方ではないだろうか。アデライーデは、リーゼロッテの部屋を見回しながらそんなことを思っていた。
リーゼロッテの部屋の調度品からは、ジークヴァルトの力が感じられていた。それなりにリーゼロッテを守ろうと努力していることは認めてやらなくもない。
そんなふうに思う自分は意外と弟に甘いのかもしれない。ジークヴァルトに甘えられたことは一度たりとてないが、甘やかされた記憶ならアデライーデにもあった。
そんなとき、リーゼロッテの部屋に家令のダニエルがやってきた。