ふたつ名の令嬢と龍の託宣
◇
「十五歳のお祝いに、リーゼは何か欲しいものはあるかい?」
家族で夕食を囲みながら、フーゴにそう尋ねられたリーゼロッテは考え込んだ。
リーゼロッテが王城から帰ってきた後、家族と一緒に食卓を囲めるようになった。今思えば、異形の者が悪さをして、食卓の皿が飛んだりしていたのだ。
視えていたら何かがかわっていただろうか? いや、力が扱えない以上、視えなくてよかったのだと、前向きに考えることにした。
こんなふうに家族で食事ができる日が来るとは思っていなかったリーゼロッテは、これ以上欲しいものなど望んだら罰が当たりそうだと思った。
「欲しいもの、でございますか……。わたくしもう十分すぎるほど、いろんなものをいただいておりますわ」
考えてみたが、思いつかない。
大好きな家族に囲まれて、こうやって食卓を囲み、素敵な部屋で過ごすこともできている。転ばないし、何も壊れない毎日だ。満たされすぎて、怖いくらいだ。
「そうは言っても、成人のお祝いだよ?」
フーゴに悲しそうに言われ、リーゼロッテは慌てたように言った。
「そのお気持ちだけで、わたくし十分しあわせですわ」
「でも、わたくしも何かリーゼに贈ってあげたいわ。社交界デビューのドレスは公爵様が用意してくださると言うし……」
クリスタもさみしそうにため息をついた。
「え? デビューのドレスを? 弟がそんなことを言ったのですか?」
同席していたアデライーデが驚いたように言った。
「十五歳のお祝いに、リーゼは何か欲しいものはあるかい?」
家族で夕食を囲みながら、フーゴにそう尋ねられたリーゼロッテは考え込んだ。
リーゼロッテが王城から帰ってきた後、家族と一緒に食卓を囲めるようになった。今思えば、異形の者が悪さをして、食卓の皿が飛んだりしていたのだ。
視えていたら何かがかわっていただろうか? いや、力が扱えない以上、視えなくてよかったのだと、前向きに考えることにした。
こんなふうに家族で食事ができる日が来るとは思っていなかったリーゼロッテは、これ以上欲しいものなど望んだら罰が当たりそうだと思った。
「欲しいもの、でございますか……。わたくしもう十分すぎるほど、いろんなものをいただいておりますわ」
考えてみたが、思いつかない。
大好きな家族に囲まれて、こうやって食卓を囲み、素敵な部屋で過ごすこともできている。転ばないし、何も壊れない毎日だ。満たされすぎて、怖いくらいだ。
「そうは言っても、成人のお祝いだよ?」
フーゴに悲しそうに言われ、リーゼロッテは慌てたように言った。
「そのお気持ちだけで、わたくし十分しあわせですわ」
「でも、わたくしも何かリーゼに贈ってあげたいわ。社交界デビューのドレスは公爵様が用意してくださると言うし……」
クリスタもさみしそうにため息をついた。
「え? デビューのドレスを? 弟がそんなことを言ったのですか?」
同席していたアデライーデが驚いたように言った。