ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 ルカのつらそうな顔を見て、リーゼロッテはいいことを思いついた。

「それでしたらわたくし、みなでピクニックに行きたいですわ」
「ピクニック?」
「お天気のいい日にお出かけして、みなで外でお弁当を食べるのですわ」

 この国ではピクニックに行くのは平民くらいで、貴族にその習慣はなかったが、屋敷からほとんど出たことがないリーゼロッテは、家族とゆっくりした時間を過ごしてみたかった。

「ルカはみなの護衛をお願いね?」

 リーゼロッテがそう言うと、ルカは「はい、義姉上」とうれしそうに頷いた。最近、剣術を習っているルカは、密かに騎士にあこがれているのだ。

「リーゼロッテが望むなら、ぜひみなで行こう」

 フーゴは頷きながら、物をねだらないところがリーゼロッテらしいと苦笑した。
 社交界デビューは、リーゼロッテのためにできること全てをやってあげたいと、ダーミッシュ夫妻は心から思ったのであった。

< 378 / 678 >

この作品をシェア

pagetop