ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 亜麻色の髪に水色の瞳のクリスタとルカは、母息子でそっくりな顔立ちをしている。フーゴはブラウンの髪に、やはり水色の瞳をしていた。

 この家族にして、ハニーブロンドに緑色の瞳をしたリーゼロッテは、血を分けた家族というにはあまりにも異質な存在であった。

 リーゼロッテは三歳の時に養子に入った。当時子供がいなかったダーミッシュ伯爵夫妻は王命をたまわり、リーゼロッテを養女として迎え入れたのだ。

 その翌年にルカが誕生したが、夫妻はふたりを分け隔てすることなく愛情をもって育ててくれた。ひきこもりなリーゼロッテがこうも明るく生きてこられたのも、この家族のあふれんばかりの愛情あってこそだった。

 時々、そのなみなみならぬ愛に溺れそうになるけれども、ダーミッシュ家の一員として、リーゼロッテは幸せを感じずにはいられなかった。

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