ふたつ名の令嬢と龍の託宣
ジークヴァルトは、リーゼロッテの手紙に即レスする上、連日のように贈り物を届けていた。リーゼロッテはそのたびに、律義にお礼の手紙を書いているようだ。
アデライーデが黙ったままでいるので、リーゼロッテは、「アデライーデ様?」と言いながら、こてんと首をかしげた。
「なんでもないのよ。よろこんでご一緒するわ」
にっこりと笑顔を作ると、ふたりはリーゼロッテの部屋へ移動する。リーゼロッテの優雅な足取りを見ながら、アデライーデはふと疑問に思ったことを口した。
「ねえ、リーゼロッテ。あなたのその所作は誰に教えてもらったの?」
リーゼロッテはどんな時でもふるまいが綺麗で、それは淑女の鏡というほど優雅に動く。母親のクリスタももちろん所作は綺麗なのだが、リーゼロッテは完璧とも言える身のこなしだった。
「わたくし、子供の頃からよく転んでいたので、みかねたお義父様がお知り合いのご夫人に、淑女教育の指導をお願いしてくださったのです。その方にどうしたら粗相をしないで済むのか、いろいろと教えていただきました」
アデライーデは「そうなのね」と返したが、粗相をしない所作を教えられたくらいで、ここまで完璧なマナーが身に着くものだろうかと首をひねった。
「申し訳ありません。わたくし、異形の者が視えるようになっても、慎重に歩くのがくせになっているみたいなのです。もう少しきびきび動くよう努力いたしますわ」
リーゼロッテが申し訳なさそうに言うので、「そんなことは気にしなくていいのよ」とアデライーデはあわてて言葉を紡いだ。
「あなたの立ち居振る舞いはとても美しいわ。その夫人はとても優秀な教師だったのね」
アデライーデの言葉にリーゼロッテは顔を赤らめて「ありがとうございます」と返した。
(手紙のマナーも完璧に教えてほしかったのだけど)
しかしリーゼロッテは脳内ではそんな残念なことを思っていた。
アデライーデが黙ったままでいるので、リーゼロッテは、「アデライーデ様?」と言いながら、こてんと首をかしげた。
「なんでもないのよ。よろこんでご一緒するわ」
にっこりと笑顔を作ると、ふたりはリーゼロッテの部屋へ移動する。リーゼロッテの優雅な足取りを見ながら、アデライーデはふと疑問に思ったことを口した。
「ねえ、リーゼロッテ。あなたのその所作は誰に教えてもらったの?」
リーゼロッテはどんな時でもふるまいが綺麗で、それは淑女の鏡というほど優雅に動く。母親のクリスタももちろん所作は綺麗なのだが、リーゼロッテは完璧とも言える身のこなしだった。
「わたくし、子供の頃からよく転んでいたので、みかねたお義父様がお知り合いのご夫人に、淑女教育の指導をお願いしてくださったのです。その方にどうしたら粗相をしないで済むのか、いろいろと教えていただきました」
アデライーデは「そうなのね」と返したが、粗相をしない所作を教えられたくらいで、ここまで完璧なマナーが身に着くものだろうかと首をひねった。
「申し訳ありません。わたくし、異形の者が視えるようになっても、慎重に歩くのがくせになっているみたいなのです。もう少しきびきび動くよう努力いたしますわ」
リーゼロッテが申し訳なさそうに言うので、「そんなことは気にしなくていいのよ」とアデライーデはあわてて言葉を紡いだ。
「あなたの立ち居振る舞いはとても美しいわ。その夫人はとても優秀な教師だったのね」
アデライーデの言葉にリーゼロッテは顔を赤らめて「ありがとうございます」と返した。
(手紙のマナーも完璧に教えてほしかったのだけど)
しかしリーゼロッテは脳内ではそんな残念なことを思っていた。