ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「そうですわ、お姉様」
ひとしきり菓子を堪能した後、リーゼロッテは思い出したように脇に置いてあった平たい大き目の箱を取り出した。
「ジークヴァルト様にいただいた物の中にこれがあったのですが、チェストの奥にしまわれていて誰も気づかなかったようなのです」
そう言いながら、リーゼロッテはその箱の蓋を開けた。
中には、ジークヴァルトの子供の頃の肖像画が入っていた。
馬の手綱を持ったジークヴァルトが不機嫌そうにこちらを振り返っている。その後ろにいる黒い馬は、対極的に優しい表情でジークヴァルトを見下ろしていた。
「まあ、これ黒影号ね」
アデライーデが懐かしそうにそう言うと、この青毛の馬は子供の頃ジークヴァルトが一番にかわいがっていた馬だったとリーゼロッテに説明した。
「この馬はもういないのですか?」
過去形なのが気になってリーゼロッテが問うと、アデライーデは「ええ、もう随分前に……」と、さびしそうに頷いた。
ひとしきり菓子を堪能した後、リーゼロッテは思い出したように脇に置いてあった平たい大き目の箱を取り出した。
「ジークヴァルト様にいただいた物の中にこれがあったのですが、チェストの奥にしまわれていて誰も気づかなかったようなのです」
そう言いながら、リーゼロッテはその箱の蓋を開けた。
中には、ジークヴァルトの子供の頃の肖像画が入っていた。
馬の手綱を持ったジークヴァルトが不機嫌そうにこちらを振り返っている。その後ろにいる黒い馬は、対極的に優しい表情でジークヴァルトを見下ろしていた。
「まあ、これ黒影号ね」
アデライーデが懐かしそうにそう言うと、この青毛の馬は子供の頃ジークヴァルトが一番にかわいがっていた馬だったとリーゼロッテに説明した。
「この馬はもういないのですか?」
過去形なのが気になってリーゼロッテが問うと、アデライーデは「ええ、もう随分前に……」と、さびしそうに頷いた。