ふたつ名の令嬢と龍の託宣
(見捨てるなと言われても、ヴァルト様は託宣の相手なのだから、むしろ一蓮托生なんじゃ……)
アデライーデの真意がつかめないリーゼロッテは、「もちろんですわ、お姉様」と曖昧に微笑みを返した。
「それにしても、ヴァルト様は馬にお乗りになれるのですね」
リーゼロッテがうらやましそうに言うと、アデライーデは一瞬だけきょとんとした顔をした。
「ああ、ヴァルトはそういう話はしてないのね。公爵領は馬の産地で有名なのよ。公爵家の人間は、男女問わず子供の頃から馬に慣れ親しんでいるわ」
「まあ、そうなのですね。……申し訳ございません。わたくし勉強不足ですわね」
言われてみれば、公爵家の家紋には馬があしらわれている。リーゼロッテは今さらながらに、嫁ぐ予定の公爵領について何も知らないことに気がついた。領地の事どころか、ジークヴァルトに姉がいたことすらつい最近知ったのだ。
父親であるジークフリートに会ったのは子供の時の一回だけだし、ジークヴァルトの母親に至っては名前さえ知らなかった。さすがにこの状態はまずいのではないだろうか。
「まあ、そんなのは嫁いでから知ればいいことよ。むしろヴァルトにまかせとけば知らなくていいわ」
「そのようなわけには……」
困ったような顔をしているリーゼロッテに、アデライーデは内心、嫁げばそれどころではなくなるのよ、と苦笑した。
今はまだ知らなくていい。
(逃げられたりしたら困るものね)
アデライーデの真意がつかめないリーゼロッテは、「もちろんですわ、お姉様」と曖昧に微笑みを返した。
「それにしても、ヴァルト様は馬にお乗りになれるのですね」
リーゼロッテがうらやましそうに言うと、アデライーデは一瞬だけきょとんとした顔をした。
「ああ、ヴァルトはそういう話はしてないのね。公爵領は馬の産地で有名なのよ。公爵家の人間は、男女問わず子供の頃から馬に慣れ親しんでいるわ」
「まあ、そうなのですね。……申し訳ございません。わたくし勉強不足ですわね」
言われてみれば、公爵家の家紋には馬があしらわれている。リーゼロッテは今さらながらに、嫁ぐ予定の公爵領について何も知らないことに気がついた。領地の事どころか、ジークヴァルトに姉がいたことすらつい最近知ったのだ。
父親であるジークフリートに会ったのは子供の時の一回だけだし、ジークヴァルトの母親に至っては名前さえ知らなかった。さすがにこの状態はまずいのではないだろうか。
「まあ、そんなのは嫁いでから知ればいいことよ。むしろヴァルトにまかせとけば知らなくていいわ」
「そのようなわけには……」
困ったような顔をしているリーゼロッテに、アデライーデは内心、嫁げばそれどころではなくなるのよ、と苦笑した。
今はまだ知らなくていい。
(逃げられたりしたら困るものね)