ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「それより、リーゼロッテは馬に乗ったことはある?」

 アデライーデは話を変えるように明るく言った。

「いいえ。でも乗馬はあこがれますわ」

 そこまで言って、リーゼロッテはしゅんとした顔になる。

「ですがわたくし、昔からなぜか動物に嫌われてしまって……。きっと馬には乗れませんわ」

 リーゼロッテは、昔から犬・猫・鳥など、様々な動物と遭遇するたび、怯えられたり威嚇されたりしていた。日本の記憶では、動物は大好きだった覚えしかないのだが。

「あら、もしかしたら、それは例の小鬼のせいじゃなくって?」

 アデライーデにそう言われたリーゼロッテは、ぱあぁっと顔を明るくした。

「まあ、わたくし気づきませんでしたわ。さすがですわ、アデライーデ様」

 動物たちが、リーゼロッテに憑いた異形たちにおびえていたのなら、今の自分を怖がることはないかもしれない。

 キラキラした瞳で尊敬のまなざしを向けられたアデライーデは苦笑しつつ、この子の方が小動物っぽいわと、そんなことを思った。

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