ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 リーゼロッテは領地に戻ってからというものの、届いた贈り物のお礼の返事を夜に書き、翌日の朝に手紙を出して、その日の午後にその返事か新たな贈り物を届けられるという、無限ループにはまっていた。

 アデライーデもいることだし、些細なことは報告するまでもないだろうと、一度は手紙の頻度を減らしたのだ。だが、手紙を遅らせると何か問題があったのかと、ジークヴァルトから先に手紙がやって来るのだ。

 問題がないから報告しないのだが、それはそれで気になるらしい。いくら王命で自分の護衛に関与しているとはいえ、ジークヴァルトは過保護すぎやしないかとリーゼロッテは思っていた。

 一時期は、普通の手紙の返事を出した直後に催促の手紙が届いて、その返事を書いて送っている合間に、前に出した手紙の返事が来るという、どれがどの返事なのか何が何やらさっぱりわからない、カオスな状況に陥ってしまった。

 仕方がないのでリーゼロッテはそれ以来、その日にあったことを日誌のように手紙に書いて送ることをルーチンワークとしたのだ。

(もはや手紙という名の交換日記だわ。ヴァルト様の返事は相変わらずそっけないけれど……でも返事は必ずくれるのよね)

 些細な報告には忙しいだろうから返事はしないでいいと書いても、「問題ない」などの一言二言の手紙が届く。届く贈り物はかなりの頻度で、気を遣わないようにやんわり伝えても、やはり「問題ない」との返事ばかりだ。

 筆まめと言えるような文章の返事ではないし、無駄なことを嫌うジークヴァルトの性格を考えると、王命だからとかなり無理をしているのだろうとリーゼロッテは思っていた。

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