ふたつ名の令嬢と龍の託宣
それでも馬車での移動は楽しかった。
リーゼロッテの隣に義母親のクリスタが座り、向かいにはエラとクリスタ付きの年配の侍女が笑顔で座っていた。
窓の外を見ると、義父のフーゴと義弟のルカが、競うように馬を走らせている。その後ろを、馬にまたがる騎士服のアデライーデと、ダーミッシュ家の護衛数人が追いかけていた。
窓から見えるのどかな田園風景は、陽の光でキラキラと輝いて見えた。
「まあ、お義母様、見てくださいませ。あちらに綺麗な花畑が……!」
瞳を輝かせて馬車の窓から外を眺めるリーゼロッテを、クリスタはうれしそうに見つめている。
ほどなくして馬車は、開けた丘の上で停車した。馬車を降りると、一面の白い花が広がった大きな花畑だった。この花は、ダーミッシュ領にしか咲かない高山植物で、領地にはあふれるほど咲いているありふれた花だった。
さわやかな風が吹くと、ふわっと花の芳香が広がる。
「お義母様とおなじ香りがしますわ」
リーゼロッテがそう言うと、クリスタはおかしそうに笑った。
「あらだって、この花を使った香水をつけているもの」
「え? そうなのですか?」
「おや、リーゼは覚えていないのかい? この花で香水を作ろうと言い出したのはリーゼなのに」
馬から降りたフーゴがそう言った。
「わたくしが、そのようなことを……?」
「ああ、そうだよ。リーゼのおかげでダーミッシュ領に大きな特産品ができたのだよ」
リーゼロッテの隣に義母親のクリスタが座り、向かいにはエラとクリスタ付きの年配の侍女が笑顔で座っていた。
窓の外を見ると、義父のフーゴと義弟のルカが、競うように馬を走らせている。その後ろを、馬にまたがる騎士服のアデライーデと、ダーミッシュ家の護衛数人が追いかけていた。
窓から見えるのどかな田園風景は、陽の光でキラキラと輝いて見えた。
「まあ、お義母様、見てくださいませ。あちらに綺麗な花畑が……!」
瞳を輝かせて馬車の窓から外を眺めるリーゼロッテを、クリスタはうれしそうに見つめている。
ほどなくして馬車は、開けた丘の上で停車した。馬車を降りると、一面の白い花が広がった大きな花畑だった。この花は、ダーミッシュ領にしか咲かない高山植物で、領地にはあふれるほど咲いているありふれた花だった。
さわやかな風が吹くと、ふわっと花の芳香が広がる。
「お義母様とおなじ香りがしますわ」
リーゼロッテがそう言うと、クリスタはおかしそうに笑った。
「あらだって、この花を使った香水をつけているもの」
「え? そうなのですか?」
「おや、リーゼは覚えていないのかい? この花で香水を作ろうと言い出したのはリーゼなのに」
馬から降りたフーゴがそう言った。
「わたくしが、そのようなことを……?」
「ああ、そうだよ。リーゼのおかげでダーミッシュ領に大きな特産品ができたのだよ」