ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「ねえ、ルカ。馬の背の上は思っていたより高くってわたくし少し怖かったわ。ひとりで馬に乗れるルカはすごいのね」

 リーゼロッテのその言葉に、ルカはまんざらでもないように頬をゆるめた。

「最近は父上と一緒に馬で領地の見回りに行っていますし、次期当主として乗馬はできて当然のことです」

 可愛らしい顔をキリッとさせてルカが言った。

「まあ、ルカは本当に頼もしいのね。手綱をにぎるルカは凛々(りり)しくて、わたくし馬車から思わず見惚れてしまっていたのよ。お義父様と一緒に馬を駆る姿はとても格好がよかったわ」

 にっこり微笑むと、ルカはその愛らしい顔を天使のようにほころばせた。

(はうっ、ルカ、マジ天使っ)

 リーゼロッテは思わずルカをむぎゅっと抱きしめ、その頬にちゅっとキスをした。

「あ、義姉(あね)(うえ)、子供扱いをするのはおやめください」

 困ったようにルカが言った。最近、ルカは昔のように甘えてくれない。姉としては寂しい限りである。

(男の子だから恥ずかしいのね)

 リーゼロッテは名残惜しいと思ったが、ルカをその腕から開放した。

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