ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 物思いにふけっていると、エラがリーゼロッテに声をかけた。自分の粗相で周囲になにかと迷惑をかけてしまうので、いつも部屋に食事を運んでもらっている。本当は家族と一緒に食べたいのだが。

「ふふ、今日もおいしそうね」

 部屋に唯一置かれたテーブルの上は、ちょうどテーブルと同じ大きさくらいの木製の皿が置かれていた。皿はいくつか区切られていて、前菜からスープ、サラダ、メインにデザートがのせられている。巨大なワンプレートといった(てい)だ。

 陶器やガラスの器だと、ご多分にもれず、割れる・ひっくり返る・飛ぶなどの事故が多発するのだ。銀製のカトラリーも、リーゼロッテの前では凶器と化すため、木製のスプーンのみでリーゼロッテは食事をすませている。

 いつだったか、何がどうしてそうなったのか、フォークとナイフが天井に刺さってしまい、それを回収するのに苦慮したのである。貴族の屋敷の天井は、とても高いのだ。

 巨大なワンプレートにしたのは、運ぶのは少々大変だが、これくらいの大きさと重さがあれば、そうそうひっくり返すこともない。テーブルマナーもへったくれもないが、みなの安全が第一である。
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