ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 安心安全な日常を送るために、リーゼロッテの身の回りは、これ以上ないというくらい簡素にブラッシュアップされているのである。

(質実剛健、いさぎよくていい言葉だわ)

 自分を慰めるように強がりながら、リーゼロッテは食事の席に着いた。

 プレートにはそれぞれの料理がこんもりと盛られ、およそ深窓の令嬢が食す量ではないように思える。ざっと五人前はある。子供の誕生パーティーでも開けそうだ。だが、リーゼロッテにとっては、これくらいが標準的な食事の量だった。

 リーゼロッテはその華奢な体に似合わず、ものすごい大食漢であった。痩せの大食いというレベルではない。リーゼロッテは、普段一日七食は食べる。そうしないと、力が出なくなって動けなくなってしまうのだ。

 寝起きのバスケットいっぱいのクッキーから始まり、山盛りの朝食に続いて十時の間食、ふつうに昼食、三時のおやつと続き、何食わぬ顔で夕食を食べたら、寝る前に夜食をつまむ。そんな生活を何年も続けている。

 エンゲル係数がハンパない、はた迷惑な令嬢であった。しかし、これでいて全く太らない。かえって痩せすぎているくらいであるから、燃費が悪いにもほどがある。
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