ふたつ名の令嬢と龍の託宣
そんなやりとりを呆然と見ていたリーゼロッテは、あわててルカに抱きついた。
「ルカ、あまり危ないことはしないでちょうだい」
「義姉上、汚れてしまうと言ったでしょう? 離れてください」
にべもなくルカに押しのけられたリーゼロッテは、信じられないとばかりに大げさによろけて見せた。そんなリーゼロッテに見向きもせず、ルカはそのまま「そんなことより義兄上」とジークヴァルトに向き直った。
思いがけない弟の塩対応に、リーゼロッテは隣にいたアデライーデに助けを求めるようにすがりついた。
「アデライーデお姉様……わたくしの可愛いルカが……」
「あら」
リーゼロッテをきゅっと抱きしめ、アデライーデはその頭をよしよしとなでた。
アデライーデの腕の中でふるふると震えながら、リーゼロッテは涙混じりにジークヴァルトを睨みあげた。
「ヴァルト様、わたくし負けませんわっ」
睨んでいるつもりなのだろうが、上目遣いがどうしようもなく可愛らしい。そんなリーゼロッテを見てアデライーデは思わず口角を上げた。言われたジークヴァルトは、眉をひそめて何のことだというような顔をしている。
「ルカ、あまり危ないことはしないでちょうだい」
「義姉上、汚れてしまうと言ったでしょう? 離れてください」
にべもなくルカに押しのけられたリーゼロッテは、信じられないとばかりに大げさによろけて見せた。そんなリーゼロッテに見向きもせず、ルカはそのまま「そんなことより義兄上」とジークヴァルトに向き直った。
思いがけない弟の塩対応に、リーゼロッテは隣にいたアデライーデに助けを求めるようにすがりついた。
「アデライーデお姉様……わたくしの可愛いルカが……」
「あら」
リーゼロッテをきゅっと抱きしめ、アデライーデはその頭をよしよしとなでた。
アデライーデの腕の中でふるふると震えながら、リーゼロッテは涙混じりにジークヴァルトを睨みあげた。
「ヴァルト様、わたくし負けませんわっ」
睨んでいるつもりなのだろうが、上目遣いがどうしようもなく可愛らしい。そんなリーゼロッテを見てアデライーデは思わず口角を上げた。言われたジークヴァルトは、眉をひそめて何のことだというような顔をしている。