ふたつ名の令嬢と龍の託宣
今、ジークヴァルトが座っているのは応接用のソファの上だ。普段ジークヴァルトは、向かいにある執務のための広い机で仕事を行っている。
なぜ今日はこの狭いテーブルしかないここなのだろう。リーゼロッテはジークヴァルトの横でこてんと首をかしげた。
眉間にしわを寄せながら、ジークヴァルトは書類の一枚を手に取った。書類にざっと目を通すと、横に置かれた空箱の一つにその書類を放り投げた。また新たな書類を手にしては、一枚一枚書類を振り分けていく。おそらく決裁、保留、却下など、書類の選別を行っているのだろう。
狭い場所でもできる仕事なら、くつろげるソファでやる方が効率がいいのかもしれない。マテアスは全くもって気の利く従者だ。リーゼロッテはそう結論づけた。
実際は、少しでもリーゼロッテのそばにいたいだろう主人の意を汲んだだけだったのだが。マテアスはやはり気の利く従者であった。
「お前は自分でできることをしろ」
ジークヴァルトの作業をじっと見つめていたリーゼロッテは、ふいに頭をなでられた。ジークヴァルトの視線は書類に向いたままだ。
(そっか、わたしの特訓の監督も兼ねてたんだ)
あわてて姿勢を正してみる。王城でもこの並びで特訓をしていたことを思い出し、リーゼロッテは胸の前で祈るように両手を重ねた。
王太子の応接室でやっていたように、手のひらの中に力が集まるように神経を集中する。
なぜ今日はこの狭いテーブルしかないここなのだろう。リーゼロッテはジークヴァルトの横でこてんと首をかしげた。
眉間にしわを寄せながら、ジークヴァルトは書類の一枚を手に取った。書類にざっと目を通すと、横に置かれた空箱の一つにその書類を放り投げた。また新たな書類を手にしては、一枚一枚書類を振り分けていく。おそらく決裁、保留、却下など、書類の選別を行っているのだろう。
狭い場所でもできる仕事なら、くつろげるソファでやる方が効率がいいのかもしれない。マテアスは全くもって気の利く従者だ。リーゼロッテはそう結論づけた。
実際は、少しでもリーゼロッテのそばにいたいだろう主人の意を汲んだだけだったのだが。マテアスはやはり気の利く従者であった。
「お前は自分でできることをしろ」
ジークヴァルトの作業をじっと見つめていたリーゼロッテは、ふいに頭をなでられた。ジークヴァルトの視線は書類に向いたままだ。
(そっか、わたしの特訓の監督も兼ねてたんだ)
あわてて姿勢を正してみる。王城でもこの並びで特訓をしていたことを思い出し、リーゼロッテは胸の前で祈るように両手を重ねた。
王太子の応接室でやっていたように、手のひらの中に力が集まるように神経を集中する。