ふたつ名の令嬢と龍の託宣
◇
その日の午後のこと。エラが少し言いにくそうにリーゼロッテに声をかけた。
「あのお嬢様、公爵様から、その、贈り物が届いております」
公爵様とは二年前に十五歳という若さで由緒正しい公爵家を継いだ、リーゼロッテの婚約者、ジークヴァルト・フーゲンベルクその人である。
さっと顔色を変えると、リーゼロッテはこわばった顔でエラに告げた。
「そう……エラ、悪いのだけれど、贈り物はいつもの部屋に運んでおいてちょうだい。それから……」
心得たとばかりにエラはうなずいて見せた。
「では贈り物の中身は、いつものように」
主人が言いにくいことであろう言葉を、みなまで聞かなくとも、くみ取って答える。
「ありがとう、エラ。いつもわがままばかり言って迷惑をかけるわね」
「そのようなことはございません!ろくに会いに来もしないで、贈り物だけ勝手に送り付けてくる公爵様に否があるのです!」
(いや、会いに来られても困るのだけれど)
「エラ、わたくしのことを大事に思ってくれてありがとう」
その日の午後のこと。エラが少し言いにくそうにリーゼロッテに声をかけた。
「あのお嬢様、公爵様から、その、贈り物が届いております」
公爵様とは二年前に十五歳という若さで由緒正しい公爵家を継いだ、リーゼロッテの婚約者、ジークヴァルト・フーゲンベルクその人である。
さっと顔色を変えると、リーゼロッテはこわばった顔でエラに告げた。
「そう……エラ、悪いのだけれど、贈り物はいつもの部屋に運んでおいてちょうだい。それから……」
心得たとばかりにエラはうなずいて見せた。
「では贈り物の中身は、いつものように」
主人が言いにくいことであろう言葉を、みなまで聞かなくとも、くみ取って答える。
「ありがとう、エラ。いつもわがままばかり言って迷惑をかけるわね」
「そのようなことはございません!ろくに会いに来もしないで、贈り物だけ勝手に送り付けてくる公爵様に否があるのです!」
(いや、会いに来られても困るのだけれど)
「エラ、わたくしのことを大事に思ってくれてありがとう」