ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 にっこりとほほ笑んだ後、リーゼロッテは少しすまなそうな顔をした。

「本当にいつも感謝しているわ。だから今の言葉は聞かなかったことするから、これからはそのようなことは言ってはいけないわ」
「出過ぎたまねをいたしました」

 しゅんとするエラに、リーゼロッテは申し訳ない気持ちでいっぱいになる。この件に関しては、悪いのは完全にリーゼロッテなのだから。

「お礼のお手紙をかかなくてはならないから……。エラ、またよろしくね?」

 少し上目遣いで懇願する。

「はい、このエラにお任せください。リーゼロッテお嬢様」

 そう言って、エラは部屋を出ていった。

 リーゼロッテは、婚約者からの贈り物が、恐ろしくて手に取ることはおろか、箱を開けることすらできないのだ。子供のころ、一度だけ会ったときの恐怖が、トラウマとなっているのかもしれない。

 送られてくる品々は、いつもおどろおどろしい負の気配がただよっていて、とてもではないが触れられそうにない。箱に近づくことすら難しかった。
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