ふたつ名の令嬢と龍の託宣
刺繍教室と言う名のエラ争奪杯に熱が入っている最中、ノックと共にマテアスが顔を出した。
「エラ様。リーゼロッテ様のご用事がお済になる頃ですので、お迎えに上がりました」
救世主の登場にエラはほっとため息をついた。自分を慕ってくれる少女たちはかわいいが、限度と言うものがある。かといってむげにも扱えず、ほとほと困っていた頃だった。
「はいはい、みなさん、今日はもう終いですよ」
「ええ、もう少しエラ様と一緒にいたいですぅ」
「あまりエラ様を困らせるようですと、この刺繍の会もなしにしますよ」
「ええぇ、マテアス性格悪いぃ」
そーよそーよと一斉に少女たちが口を開く。先ほどまでエラをとりあっていたくせに、見事な連係プレーである。
「あの、来週もきちんとお教えしますので……」
エラがとりなすように言うと、少女たちは潤んだ瞳をエラに向けた。
「「「エラ様ありがとうございます、大好きですぅ!!」」」
息のあった声で返された。
「では、部屋までお送りいたしますね」
マテアスがエラの手を取り部屋を後にする。出ていくふたりを少女たちはうらみがましそうに見送った。
ぱたんと扉が閉じると、ひとりの少女がぽつりと言った。
「マテアス、絶対職権乱用だよね」
「ホントずるい! でも、エラ様って一緒にいるとすっごい安らぐわぁ」
「ああ、うちの兄さんのお嫁さんになってくれないかなぁ」
「やだ、あんたんとこにやるくらいなら、わたしがもらうわ」
「だめよ、みんなのエラ様よ!」
そんな似たようなやりとりが、公爵家のそこかしこで繰り広げられていることをエラは知る由もなかった。
「エラ様。リーゼロッテ様のご用事がお済になる頃ですので、お迎えに上がりました」
救世主の登場にエラはほっとため息をついた。自分を慕ってくれる少女たちはかわいいが、限度と言うものがある。かといってむげにも扱えず、ほとほと困っていた頃だった。
「はいはい、みなさん、今日はもう終いですよ」
「ええ、もう少しエラ様と一緒にいたいですぅ」
「あまりエラ様を困らせるようですと、この刺繍の会もなしにしますよ」
「ええぇ、マテアス性格悪いぃ」
そーよそーよと一斉に少女たちが口を開く。先ほどまでエラをとりあっていたくせに、見事な連係プレーである。
「あの、来週もきちんとお教えしますので……」
エラがとりなすように言うと、少女たちは潤んだ瞳をエラに向けた。
「「「エラ様ありがとうございます、大好きですぅ!!」」」
息のあった声で返された。
「では、部屋までお送りいたしますね」
マテアスがエラの手を取り部屋を後にする。出ていくふたりを少女たちはうらみがましそうに見送った。
ぱたんと扉が閉じると、ひとりの少女がぽつりと言った。
「マテアス、絶対職権乱用だよね」
「ホントずるい! でも、エラ様って一緒にいるとすっごい安らぐわぁ」
「ああ、うちの兄さんのお嫁さんになってくれないかなぁ」
「やだ、あんたんとこにやるくらいなら、わたしがもらうわ」
「だめよ、みんなのエラ様よ!」
そんな似たようなやりとりが、公爵家のそこかしこで繰り広げられていることをエラは知る由もなかった。