ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「商家としてうまくいき、たまたま父は栄誉を承りました。でも、平民気質が抜けない父は、貴族の世界は身分不相応と感じていまして……。父は近いうちに爵位を返上しようと考えているのです」
商才はあったものの、爵位を賜っただけのにわか男爵であったエラの父は、貴族の足の引っ張り合いに巻き込まれ、騙されて事業が傾き苦境に立たされた時期があった。娶った妻も、エラの母であるが、何の後ろ楯もない商家の娘だったため、当時は没落まっしぐらな状況だったのだ。弟妹たちが三人いるエラは、十五歳で奉公に出る決心をした。
幸運にも、破格の給料がもらえるダーミッシュ家に仕えることができたエラはそこでリーゼロッテに出会った。おしとやかなのによく転ぶ、人形のように愛らしいリーゼロッテは、魔法のような進言をしてエラの実家を救ってくれたのだ。
実際に救ってくれたのはダーミッシュ伯爵なのだが、リーゼロッテがいなかったら、一家はとっくに路頭に迷っていただろう。
エラがリーゼロッテを心から崇拝するのは、そんなことがあったからであるのだが、その時に一家は思い知ったのだ。過ぎた身分は身を亡ぼすと。
今でこそエラの実家は商売がうまくいっているが、それはダーミッシュ伯爵の後ろ盾があってこそだ。自分たちは平民に戻って、平民なりの人脈と機動力の良さを生かしてダーミッシュ領に貢献していこうと一家は考えていた。
商才はあったものの、爵位を賜っただけのにわか男爵であったエラの父は、貴族の足の引っ張り合いに巻き込まれ、騙されて事業が傾き苦境に立たされた時期があった。娶った妻も、エラの母であるが、何の後ろ楯もない商家の娘だったため、当時は没落まっしぐらな状況だったのだ。弟妹たちが三人いるエラは、十五歳で奉公に出る決心をした。
幸運にも、破格の給料がもらえるダーミッシュ家に仕えることができたエラはそこでリーゼロッテに出会った。おしとやかなのによく転ぶ、人形のように愛らしいリーゼロッテは、魔法のような進言をしてエラの実家を救ってくれたのだ。
実際に救ってくれたのはダーミッシュ伯爵なのだが、リーゼロッテがいなかったら、一家はとっくに路頭に迷っていただろう。
エラがリーゼロッテを心から崇拝するのは、そんなことがあったからであるのだが、その時に一家は思い知ったのだ。過ぎた身分は身を亡ぼすと。
今でこそエラの実家は商売がうまくいっているが、それはダーミッシュ伯爵の後ろ盾があってこそだ。自分たちは平民に戻って、平民なりの人脈と機動力の良さを生かしてダーミッシュ領に貢献していこうと一家は考えていた。