ふたつ名の令嬢と龍の託宣
よく見ると、周りを行きかう使用人たちは、その男を避けて通ってはいるものの、その存在を全く気に留めていない様子だった。
そばで鬼ごっこをしていた子供たちが、男の元まで駆けてくる。子供たちは笑いながら追いかけ合い、大男の周りをぐるりと回ってまた遠くに走っていった。
(あれも異形の者なんだわ)
リーゼロッテは緑の瞳を見開いて小さな口をきゅっと結んだ。
「お気になられますか?」
マテアスがエラに聞こえないように囁き声で聞いてくる。
「え、ええ。でも……」
エラがいる前で異形の話をすることはできなかった。大好きなエラに頭がおかしいと思われるのは悲しすぎる。
「少しあちらへ行ってみましょうか。みなも未来の奥様にお目にかかりたいと思っていますから」
使用人との過度な接触を嫌う貴族は多いが、フーゲンベルク家は使用人との距離がものすごく近いようだった。ダーミッシュ家も和気あいあいとしてるが、主従の線引きははっきりしている。公爵家の方がよほどフランクな関係に感じられたが、リーゼロッテは日本の記憶があるため、そこのところはむしろウエルカムである。
「では行ってみようかしら」
そばで鬼ごっこをしていた子供たちが、男の元まで駆けてくる。子供たちは笑いながら追いかけ合い、大男の周りをぐるりと回ってまた遠くに走っていった。
(あれも異形の者なんだわ)
リーゼロッテは緑の瞳を見開いて小さな口をきゅっと結んだ。
「お気になられますか?」
マテアスがエラに聞こえないように囁き声で聞いてくる。
「え、ええ。でも……」
エラがいる前で異形の話をすることはできなかった。大好きなエラに頭がおかしいと思われるのは悲しすぎる。
「少しあちらへ行ってみましょうか。みなも未来の奥様にお目にかかりたいと思っていますから」
使用人との過度な接触を嫌う貴族は多いが、フーゲンベルク家は使用人との距離がものすごく近いようだった。ダーミッシュ家も和気あいあいとしてるが、主従の線引きははっきりしている。公爵家の方がよほどフランクな関係に感じられたが、リーゼロッテは日本の記憶があるため、そこのところはむしろウエルカムである。
「では行ってみようかしら」