ふたつ名の令嬢と龍の託宣
そうこうしているうちに、先ほどの仁王立ちしている大男の場所までやってきた。
男は身じろぎもせず、じっと一点を睨みつけるように凝視している。その視点の先に立っていたら、きっと身の竦む思いをすることだろう。両の手はきつくこぶしが握られており、何かに耐えているようにも見えた。
しかし、リーゼロッテは首をかしげた。男の形相は恐ろしく感じるが、纏う気配が不可思議に感じる。気配と言うより心持ちと言った方が良いだろうか?
リーゼロッテは王城での異形の騒ぎの一件から、異形に対して敏感になった。油断すると異形の思いの塊のようなものが、頭の中に流れ込んでくるのだ。
その大概は、助けを求めるような懇願の声だったが、今ここで立ち尽くす異形からはそういった思いは感じられなかった。
男から流れてくるのは、リーゼロッテ自身も覚えのあるようなそんな身近な感情だった。そう、例えて言うなら――。
(まるでふてくされているよう)
男は身じろぎもせず、じっと一点を睨みつけるように凝視している。その視点の先に立っていたら、きっと身の竦む思いをすることだろう。両の手はきつくこぶしが握られており、何かに耐えているようにも見えた。
しかし、リーゼロッテは首をかしげた。男の形相は恐ろしく感じるが、纏う気配が不可思議に感じる。気配と言うより心持ちと言った方が良いだろうか?
リーゼロッテは王城での異形の騒ぎの一件から、異形に対して敏感になった。油断すると異形の思いの塊のようなものが、頭の中に流れ込んでくるのだ。
その大概は、助けを求めるような懇願の声だったが、今ここで立ち尽くす異形からはそういった思いは感じられなかった。
男から流れてくるのは、リーゼロッテ自身も覚えのあるようなそんな身近な感情だった。そう、例えて言うなら――。
(まるでふてくされているよう)