ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「お願いですわ、ヴァルト様」

 今まで出したこともないような甘えた口調で、ダメ押しのように声を震わせる。名探偵の某少年を参考に、なんとか無邪気な子供を演じてみた。

 ジークヴァルトはふいと視線を逸らした後、舌打ちをしてからリーゼロッテに向き直った。

「ダーミッシュ嬢の部屋の前の護衛なら許す。守りたいというならそれで十分だろう」
「ええ? ですが、守るものはカーク自身がみつけなければ……」
「それ以外は却下だ。部屋の中に入れるのも禁止だ。守れないならその時は……」

 ジークヴァルトはゆらりと立ち上がりカークを見やった。

「容赦なく、消す」

 絶対零度の無表情に、カークはピーンと姿勢を正した。こくこくと頷くと、そそくさと執務室を出ていこうとする。

「カーク? 本当にそれでいいの?」

 振り返りもう一度こくこくと頷く。そのまま扉を抜けて出て行ってしまった。

「部屋の場所はわかるのかしら?」

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