ふたつ名の令嬢と龍の託宣
言いながらジークヴァルトは耳裏からリーゼロッテの髪の中に指を差し入れた。そのままうなじに手を添えて、リーゼロッテの顔を自分の胸元へ引き寄せる。
と同時にガッチャガッチャと部屋中の物が生き物のように飛び跳ね出した。
ジークヴァルトはそれを確認すると、部屋の一角、自分の執務机の上に視線を巡らせた。山のような書類が目に入った瞬間、大きな揺れと共に書類の束が崩れて床の上に散らばっていく。
ズササササーと派手な音を立てて崩れ行く書類を見て、この束を元に戻す手間と、この量全てを処理しなけばならないという現実に、ジークヴァルトは激しくげんなりとなった。崩れた書類をいっそこのまま放置してしまいたい。
すると、がちゃがちゃ音を立てていた部屋が、カタカタ震える程度に少しばかり静かになった。
鎮まってきた様子を冷静に見やってから、次にジークヴァルトは身をかがめてリーゼロッテをのぞき込んだ。リーゼロッテは震えながら、今にも溢れそうな涙をこぼすまいと、その緑の瞳を大きく見開いている。
「ヴァルト様」
「大丈夫だ、問題ない」
耳元に唇を寄せ、ジークヴァルトは囁くように言った。
鼻先の髪からリーゼロッテのいい匂いがする。そのまま香りを楽しむかのようにジークヴァルトはリーゼロッテの首筋に顔を寄せた。
再びドンガラガッシャン!と派手な音を立て、部屋中の小物から調度品までありとあらゆるものがひっくり返らんばかりの勢いで揺れだした。リーゼロッテは悲鳴を上げてパニック状態だ。
リーゼロッテが泣きながら自分の首にしがみついてくる。その吐息が自分の首筋にかかり、ジークヴァルトは「悪くない」とつぶやいた。そのままきゅうと抱きしめて、すんすんとリーゼロッテの耳裏の匂いを嗅いでみる。
と同時にガッチャガッチャと部屋中の物が生き物のように飛び跳ね出した。
ジークヴァルトはそれを確認すると、部屋の一角、自分の執務机の上に視線を巡らせた。山のような書類が目に入った瞬間、大きな揺れと共に書類の束が崩れて床の上に散らばっていく。
ズササササーと派手な音を立てて崩れ行く書類を見て、この束を元に戻す手間と、この量全てを処理しなけばならないという現実に、ジークヴァルトは激しくげんなりとなった。崩れた書類をいっそこのまま放置してしまいたい。
すると、がちゃがちゃ音を立てていた部屋が、カタカタ震える程度に少しばかり静かになった。
鎮まってきた様子を冷静に見やってから、次にジークヴァルトは身をかがめてリーゼロッテをのぞき込んだ。リーゼロッテは震えながら、今にも溢れそうな涙をこぼすまいと、その緑の瞳を大きく見開いている。
「ヴァルト様」
「大丈夫だ、問題ない」
耳元に唇を寄せ、ジークヴァルトは囁くように言った。
鼻先の髪からリーゼロッテのいい匂いがする。そのまま香りを楽しむかのようにジークヴァルトはリーゼロッテの首筋に顔を寄せた。
再びドンガラガッシャン!と派手な音を立て、部屋中の小物から調度品までありとあらゆるものがひっくり返らんばかりの勢いで揺れだした。リーゼロッテは悲鳴を上げてパニック状態だ。
リーゼロッテが泣きながら自分の首にしがみついてくる。その吐息が自分の首筋にかかり、ジークヴァルトは「悪くない」とつぶやいた。そのままきゅうと抱きしめて、すんすんとリーゼロッテの耳裏の匂いを嗅いでみる。