ふたつ名の令嬢と龍の託宣
次にジークヴァルトはひっくり返る部屋の中に視線をやると、顔を上げて何か気が削がれそうなことを探した。悲惨なことになっている室内の後始末はマテアスに押し付ければいい。他に何かないものか。
ジークヴァルトは瞳を閉じて、過酷な騎士団の鍛錬を思い浮かべた。
いつだったか近衛隊第一隊に所属する隊員が不始末を起こして、キュプカー隊長の逆鱗に触れたことがあった。怒れるキュプカー隊長によって隊員全員に二十四時間耐久鍛錬が課せられて、それはもうひどい目にあったのだ。
連帯責任ということで、ジークヴァルトもそれに従ったのだが、あれをまた体験しろと言われたら、ハインリヒを動かしてでも回避の道を選ぶだろう。その時のことを思い出すと、ジークヴァルトの眉間に自然としわが寄った。
そっと目を開くと、跳ねて踊っていた部屋の中は、いつの間にか静寂を取り戻していた。
ジークヴァルトは改めて腕の中のリーゼロッテを見やった。落ち着いてきた部屋の様子に、リーゼロッテは力が抜けてしまったようだ。自力で立てないのか、くったりとその体を預けている。
そっとその頬に手を添えて、ジークヴァルトはリーゼロッテを上向かせた。不安と安堵がないまぜになった緑の瞳をのぞき込むように、ジークヴァルトは顔を傾けながら唇を寄せていった。
リーゼロッテとジークヴァルトの近づく距離に反比例して、部屋の中の騒音が再び激しくなっていく。
再度揺れだした周囲に、リーゼロッテはびくりと体を震わせた。リーゼロッテは荒ぶる部屋に気を取られて、近すぎるジークヴァルトとの距離に気がまわらないようだ。
ジークヴァルトの唇が、リーゼロッテのそれに辿りつこうとした瞬間、机もソファも棚も時計も、部屋の中のありとあらゆるものが抗議するかのように飛び跳ねた。
ジークヴァルトは瞳を閉じて、過酷な騎士団の鍛錬を思い浮かべた。
いつだったか近衛隊第一隊に所属する隊員が不始末を起こして、キュプカー隊長の逆鱗に触れたことがあった。怒れるキュプカー隊長によって隊員全員に二十四時間耐久鍛錬が課せられて、それはもうひどい目にあったのだ。
連帯責任ということで、ジークヴァルトもそれに従ったのだが、あれをまた体験しろと言われたら、ハインリヒを動かしてでも回避の道を選ぶだろう。その時のことを思い出すと、ジークヴァルトの眉間に自然としわが寄った。
そっと目を開くと、跳ねて踊っていた部屋の中は、いつの間にか静寂を取り戻していた。
ジークヴァルトは改めて腕の中のリーゼロッテを見やった。落ち着いてきた部屋の様子に、リーゼロッテは力が抜けてしまったようだ。自力で立てないのか、くったりとその体を預けている。
そっとその頬に手を添えて、ジークヴァルトはリーゼロッテを上向かせた。不安と安堵がないまぜになった緑の瞳をのぞき込むように、ジークヴァルトは顔を傾けながら唇を寄せていった。
リーゼロッテとジークヴァルトの近づく距離に反比例して、部屋の中の騒音が再び激しくなっていく。
再度揺れだした周囲に、リーゼロッテはびくりと体を震わせた。リーゼロッテは荒ぶる部屋に気を取られて、近すぎるジークヴァルトとの距離に気がまわらないようだ。
ジークヴァルトの唇が、リーゼロッテのそれに辿りつこうとした瞬間、机もソファも棚も時計も、部屋の中のありとあらゆるものが抗議するかのように飛び跳ねた。