ふたつ名の令嬢と龍の託宣
カークから感じるのは純粋な感情だ。強い思いと言い換えられるかもしれない。
対してジョンは、複雑な人生における葛藤が垣間見える。過去の出来事に裏打ちされた憂いのようなものを、リーゼロッテはジョンから感じ取っていた。
強い思いを抱く異形の者という共通点はあるものの、両者は全くの別物のような気がしてならないのだ。
『まあ、カークはただの残留思念だしね』
「残留思念?」
『カークはね、騙されて恥をかいた男の残留思念だよ。あんなにあの場に焼き付いたんだから、よっぽど悔しかったんだろうね』
よくあんなの動かせたね、とジークハルトは笑った。
(焼き付くだなんて、まるで写真のようね)
同じ思いがぐるぐる回るカークは、無限ループの短いGIF動画のようなものだろうか。
対してジョンは幾重にも複雑な感情が巡っていく。まるで長い映画のように。
「カークが残された誰かの強い思念と言うのなら、ジョンは亡くなった方そのものなのですか?」
リーゼロッテは日本で言うところのいわゆる幽霊を思い浮かべた。
『まあ、そんなところかな? ジョンは選ばれし者だしね』
「選ばれし者? ジョンは何に選ばれたのですか?」
『さあ、何にだろうね?』
ジークハルトはいつも謎かけのように話をはぐらかす。思わせぶりなことが多いので、ちょっとモヤモヤしてしまう。
しかし、こうなるとジークハルトは何も教えてくれないので、リーゼロッテはあきらめて別の話題をふることにした。
対してジョンは、複雑な人生における葛藤が垣間見える。過去の出来事に裏打ちされた憂いのようなものを、リーゼロッテはジョンから感じ取っていた。
強い思いを抱く異形の者という共通点はあるものの、両者は全くの別物のような気がしてならないのだ。
『まあ、カークはただの残留思念だしね』
「残留思念?」
『カークはね、騙されて恥をかいた男の残留思念だよ。あんなにあの場に焼き付いたんだから、よっぽど悔しかったんだろうね』
よくあんなの動かせたね、とジークハルトは笑った。
(焼き付くだなんて、まるで写真のようね)
同じ思いがぐるぐる回るカークは、無限ループの短いGIF動画のようなものだろうか。
対してジョンは幾重にも複雑な感情が巡っていく。まるで長い映画のように。
「カークが残された誰かの強い思念と言うのなら、ジョンは亡くなった方そのものなのですか?」
リーゼロッテは日本で言うところのいわゆる幽霊を思い浮かべた。
『まあ、そんなところかな? ジョンは選ばれし者だしね』
「選ばれし者? ジョンは何に選ばれたのですか?」
『さあ、何にだろうね?』
ジークハルトはいつも謎かけのように話をはぐらかす。思わせぶりなことが多いので、ちょっとモヤモヤしてしまう。
しかし、こうなるとジークハルトは何も教えてくれないので、リーゼロッテはあきらめて別の話題をふることにした。