ふたつ名の令嬢と龍の託宣
『だったら今すぐヴァルトにやってもらいなよ』
「え? いいえ、今ヴァルト様はお忙しくて」
『いいからいいから。面倒だからヴァルトをここに呼ぼう。さあ、リーゼロッテ目を閉じて』
「え? 目?」
『ほら、いいから早く』
ジークハルトにせかされて、リーゼロッテはソファに腰かけたまま素直にその緑の瞳を閉じた。
「これでよろしいですか?」
『うん、そのまま動かないでね』
ジークハルトは目を閉じたままのリーゼロッテを覗き込みながら、ゆっくりと自分の顔を近づけていった。
リーゼロッテがじっとしているのをいいことに、ジークハルトがその唇をよせていく。リーゼロッテの唇にそれが届きそうになったその瞬間、二の腕を掴まれたリーゼロッテは思い切り横に引っ張られた。
「ひゃっ」
突然のことにリーゼロッテは思わず叫び声をあげた。倒れこんだ体は何か硬くて温かなものにがっちりと包みこまれている。
「おい」
頭の上から声がする。低い低い声だった。
「ヴァルト様?」
見上げると、ジークヴァルトが目の前の守護者を睨みつけている。
「え? どうして」
先ほどまで自分とジークハルト以外この部屋には誰もいなかったはずだ。
ソファの上、ジークヴァルトの腕にきつく抱かれた状態で、リーゼロッテの頭上にクエスチョンマークが乱舞した。
「え? いいえ、今ヴァルト様はお忙しくて」
『いいからいいから。面倒だからヴァルトをここに呼ぼう。さあ、リーゼロッテ目を閉じて』
「え? 目?」
『ほら、いいから早く』
ジークハルトにせかされて、リーゼロッテはソファに腰かけたまま素直にその緑の瞳を閉じた。
「これでよろしいですか?」
『うん、そのまま動かないでね』
ジークハルトは目を閉じたままのリーゼロッテを覗き込みながら、ゆっくりと自分の顔を近づけていった。
リーゼロッテがじっとしているのをいいことに、ジークハルトがその唇をよせていく。リーゼロッテの唇にそれが届きそうになったその瞬間、二の腕を掴まれたリーゼロッテは思い切り横に引っ張られた。
「ひゃっ」
突然のことにリーゼロッテは思わず叫び声をあげた。倒れこんだ体は何か硬くて温かなものにがっちりと包みこまれている。
「おい」
頭の上から声がする。低い低い声だった。
「ヴァルト様?」
見上げると、ジークヴァルトが目の前の守護者を睨みつけている。
「え? どうして」
先ほどまで自分とジークハルト以外この部屋には誰もいなかったはずだ。
ソファの上、ジークヴァルトの腕にきつく抱かれた状態で、リーゼロッテの頭上にクエスチョンマークが乱舞した。