ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「お願いとはなんだ?」
「え?」
突然の問いにリーゼロッテの頭はフリーズしたままだ。
「何かあったのだろう」
「え、あ、はい。あの、カークのことなのですが……」
一同が扉の方をみやる。開け放たれたままの入口で、カークが立ちふさがるように仁王立ちしている。扉は開いているのに、額を押し付けている仕様は変わらずだ。
「あのように立ちふさがっていて、部屋の出入りに少々支障が……」
「カークは護衛の意味がまるでわかっていないのですよ」
エマニュエルが引き継ぐように冷たく言った。エマニュエルは心からカークが邪魔のようだ。
「エマ様、申し訳ありません。わたくしがカークを連れてきてしまったせいで……」
「まあ、リーゼロッテ様のせいなどと。長年カークを放置してきた公爵家にこそ問題がございますわ」
エマニュエルの不敬な言いように、リーゼロッテは青ざめてジークヴァルトの顔を見あげた。しかしその顔は普段通りの静かな無表情だった。
「え?」
突然の問いにリーゼロッテの頭はフリーズしたままだ。
「何かあったのだろう」
「え、あ、はい。あの、カークのことなのですが……」
一同が扉の方をみやる。開け放たれたままの入口で、カークが立ちふさがるように仁王立ちしている。扉は開いているのに、額を押し付けている仕様は変わらずだ。
「あのように立ちふさがっていて、部屋の出入りに少々支障が……」
「カークは護衛の意味がまるでわかっていないのですよ」
エマニュエルが引き継ぐように冷たく言った。エマニュエルは心からカークが邪魔のようだ。
「エマ様、申し訳ありません。わたくしがカークを連れてきてしまったせいで……」
「まあ、リーゼロッテ様のせいなどと。長年カークを放置してきた公爵家にこそ問題がございますわ」
エマニュエルの不敬な言いように、リーゼロッテは青ざめてジークヴァルトの顔を見あげた。しかしその顔は普段通りの静かな無表情だった。