ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 そして、一同はいつもの定位置についた。
 執務机で眉間にしわを寄せるジークヴァルト。その隣の机で補佐をするマテアス。応接用の二人掛けのソファにリーゼロッテ。その横に浮いているジークハルト。そして、エマニュエルがみなのために紅茶を淹れている。

 そんないつもの風景が戻ってきて、リーゼロッテはほっと胸をなでおろしていた。ここのところ、あちこちで波風が立って、少々気疲れが重なっていた。

(ヴァルト様とハルト様との仲は相変わらずだけど……)

 二人の問題に口出しすることもできず、リーゼロッテはただ成り行きを見守るしかなかった。

 リーゼロッテがジークハルトと会話をしていても、ジークヴァルトは特に興味なさそうにしている。何も言われないということは、自分はこのままでもいいのだろう。そう思って、リーゼロッテ自身は今まで通りジークハルトに接していた。

 ジークハルトの方もジークヴァルトをそっちのけで、リーゼロッテの訓練をおもしろそうに観察している。

「……どうしてうまくできないのかしら」

 ふわふわ掴みどころのない自分の力に、リーゼロッテはため息をついた。

(やっぱりわたしの守護者とうまく同調できてないせいなのかも)

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