ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「ええ? それは困りますわ」
『というより自覚がないのかな?』
「どどどうしたら自覚して頂けるのでしょう?」

 リーゼロッテは焦りながら宙に浮くジークハルトを見上げた。

『お願いしてみたら?』
「そんなふわっとした感じでいいのでしょうか?」

 とりあえずリーゼロッテは祈るように手を組んで、守護者である聖女にお願いしてみる。

(聖女様。聖女様がわたしの守護者なのはきっとあなたの運命です! ですので、しっかりきっぱり自覚をもって、全力でわたしを守ってください!)

『ははは、やっぱりおもしろいや』

 そんな様子をジークハルトはおかしそうにずっと眺めていた。

「わたくしの力が安定しないのは、やはり聖女様の影響ですか?」
『そうだね。リーゼロッテと聖女の息が、まったくかみ合ってないからね』
「息、ですか?」

(阿吽の呼吸、みたいなものかしら?)

「そうおっしゃられましても……」

 リーゼロッテはどんなにやってみても、自分の中に守護者の存在を感じることはできなかった。それこそ精神を集中してみたり、座禅みたいなこともしてみたのだが。

『すごく同調してる時もあるよ?』
「え? そうなのですか?」

 リーゼロッテの緑の瞳がぱっと輝いた。

「どんなときに同調しているか、ハルト様はお分かりになりますか?」

 それが分かれば、力の安定化を図れるかもしれない。リーゼロッテはそう考えると期待に満ちた視線を向けた。

『どんなときって、そうだなぁ……』

 顎に手を当てて少し考え込んでから、ジークハルトはリーゼロッテに視線を戻した。

『こんなときかな?』

< 555 / 678 >

この作品をシェア

pagetop