ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 静かに聞いていたリーゼロッテが、口を開いた。

「行かないという選択肢がないのなら、穏便(おんびん)に行く方法を考えなくてはなりませんわ」
「リーゼをひとりで行かせるのは、穏便とは言わない」

 すぐさまフーゴが反対する。

「もちろんエラを同行させますわ。エラは男爵家の令嬢ですし、社交界の経験もあります。足を痛めているお義母様(かあさま)に無理をさせる方が、よほど穏便ではないですわ、お義父様(とうさま)

 フーゴは妻のクリスタのことも溺愛していた。クリスタを盾にすれば、否とは言えないのだ。

「でも、わたくしもリーゼひとりでは心配だわ。せめて、親戚の誰かに付き添いをお願いできないかしら」

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