ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 クリスタがため息交じりに言ったが、お茶会まで数日もない。王城に上がれるような身分の親戚女性はいるにはいるが、高齢だったり、身重であったり、遠方に住んでいたり、すぐにひきうけてくれそうな人物は見当たらなかった。

「僕が同行できればいいのに。いっそのこと、僕が侍女の格好をして義姉上(あねうえ)を守ります!」

 一瞬、ルカの女装姿を想像して、それはありかも、などと考えてしまったが、「未来のダーミッシュ伯爵に女装などさせられません」とリーゼロッテはあわてて反対した。

「とにかく、エラとわたくしで行ってまいります。王城へは日帰りできる距離なのですよね? お義父様」
「ああ、行きは早めに出発するとして、お茶会だから、夜会と違って帰りもそう遅い時間にはならないだろう。しかしだな……」

 いまだ渋ろうとする父親にリーゼロッテは畳みかけるように続けた。

「でしたら、馬車の中でわたくししっかり眠りますわ。眠り薬の量を調節して、着く頃に目覚めるようにすれば、行き帰りの道中は安心です」

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