ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 残されたリーゼロッテはしばらくの間、テーブルの上のチョコをじっと見つめていた。カークだけがそれを微動だにせず見守っている。

 艶やかなチョコは、リーゼロッテに食べてもらえるのを今か今かと待っている。
 口に入れた瞬間に広がるとろけるようなあの甘さ。中から出てくるベリーのソースのなんとも絶妙なハーモニー……
 それを想像しただけで、リーゼロッテは切ない気分になってくる。

(食べたい……ひとつぶ残らず食べてしまいたい……!)

 本当に太ってきてはいないだろうか?このきつくなった腕まわりは、本当に成長しただけなのだろうか?十五歳になるまで何年も変わらず幼児体型だったのに、ここにきていきなり成長したりするものだろうか?
 様々な疑問が脳内をかけめぐる。

 リーゼロッテは近くに誰もいないことを確かめて、そっと左腕を持ち上げた。七分丈のドレスの袖が、するりと肩口に向かって落ちていく。

 目線の近くまで持ち上げた自分の二の腕を、リーゼロッテはまじまじと見つめた。反対の指で二の腕の下肉をつまんでぷにぷにとその量を確かめる。
 やはり贅肉の付きすぎなのではないだろうか?

 そんな疑問が沸き上がったとき、リーゼロッテは持ち上げていた手首を不意にぐっと掴まれた。

「ジークヴァルト様!」

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