ふたつ名の令嬢と龍の託宣
そのタイミングで執務室の扉が再び誰かにノックされた。マテアスが扉を開けると、エッカルトがいつになく硬い表情で立っており、エラはここにいるかと問うてきた。
「わたしに何かご用でしょうか……?」
扉の側にいたエラがエッカルトに歩み寄る。
「先ほどエデラー男爵夫人がお倒れになったとの至急の知らせが届きました」
エデラー男爵夫人とはエラの母親のことだ。その言葉を聞いて、エラもリーゼロッテも青い顔になる。
「馬車を出す用意はすぐにできます。エラ様も出発のご準備をなさってください」
エッカルトがそう言うと、エラは青い顔のままリーゼロッテをみやった。その視線を受けてリーゼロッテが隣に座るジークヴァルトへと視線を送る。
「ヴァルト様……」
「ああ、すぐに出るといい」
「お嬢様、申し訳ありません……」
「いいのよ、エラ。わたくしのことは心配いらないわ」
エラの見送りについていこうとリーゼロッテは立ちあがろうとして、くらりとめまいをおこしそうになった。思わず隣のジークヴァルトの膝に手をついてしまう。
「お嬢様!」
ジークヴァルトに支えられ再びソファに腰かけたリーゼロッテは、慌ててエラに向けて言った。
「大丈夫よ、少しだけ立ち眩みがしただけだから。ヴァルト様もいらっしゃるから、わたくしのことは気にせず、エラはお母様の元にすぐに向かってさしあげて」
「ですが……」
「エラ様、リーゼロッテ様はわたしどもが誠心誠意お仕えいたしますので、どうぞご安心なさってください」
マテアスが安心させるように微笑むと、エラは何度も振り返りながらエッカルトに連れられて部屋を出ていった。
「わたしに何かご用でしょうか……?」
扉の側にいたエラがエッカルトに歩み寄る。
「先ほどエデラー男爵夫人がお倒れになったとの至急の知らせが届きました」
エデラー男爵夫人とはエラの母親のことだ。その言葉を聞いて、エラもリーゼロッテも青い顔になる。
「馬車を出す用意はすぐにできます。エラ様も出発のご準備をなさってください」
エッカルトがそう言うと、エラは青い顔のままリーゼロッテをみやった。その視線を受けてリーゼロッテが隣に座るジークヴァルトへと視線を送る。
「ヴァルト様……」
「ああ、すぐに出るといい」
「お嬢様、申し訳ありません……」
「いいのよ、エラ。わたくしのことは心配いらないわ」
エラの見送りについていこうとリーゼロッテは立ちあがろうとして、くらりとめまいをおこしそうになった。思わず隣のジークヴァルトの膝に手をついてしまう。
「お嬢様!」
ジークヴァルトに支えられ再びソファに腰かけたリーゼロッテは、慌ててエラに向けて言った。
「大丈夫よ、少しだけ立ち眩みがしただけだから。ヴァルト様もいらっしゃるから、わたくしのことは気にせず、エラはお母様の元にすぐに向かってさしあげて」
「ですが……」
「エラ様、リーゼロッテ様はわたしどもが誠心誠意お仕えいたしますので、どうぞご安心なさってください」
マテアスが安心させるように微笑むと、エラは何度も振り返りながらエッカルトに連れられて部屋を出ていった。