ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「エマニュエル様もエラ様をお見送りに行っていただけますか? その後、エマニュエル様は今日はそのままお休みになってください。それでよろしいですよね? 旦那様」

 エマニュエルの顔色がよくなってきたことを確認したマテアスは、ジークヴァルトに向かって言った。
 ジークヴァルトは「ああ」と返事をしてからリーゼロッテの頭をひとなですると、ソファから立ち上がり執務机へと向かった。そのまま仕事を再開し始める。

「エマ様、今日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「まあ、迷惑などと。わたしの不徳の致すところですわ」

 エマニュエルにそう言われ、リーゼロッテは増々すまなそうな顔をした。立ち上がってエマニュエルを見送ろうとしたリーゼロッテは、笑顔でそれを制される。

「リーゼロッテ様はもう少し休憩なさっていてください」
「では、わたしがそこまでお見送りいたしましょう」

 マテアスはエマニュエルを促し扉を開ける。

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