ふたつ名の令嬢と龍の託宣
だらんと両腕を下ろした状態で、うつむき加減のジークヴァルトがぽつりと言った。
「ヴァルト様……?」
続いている息苦しさに不安を感じて、リーゼロッテはジークヴァルトに手を伸ばした。
「えっ……?」
その手を取ろうとして、リーゼロッテは逆に手首を掴み取られた。乱暴に腕を引かれ、リーゼロッテはたたらを踏みながら引き寄せられる。
ジークヴァルトはもう片方の腕も掴んだかと思うと、無言のままリーゼロッテを荷物を扱うかのように無造作に持ち上げた。
「いった」
背中が打ち付けられる衝撃に、リーゼロッテは思わず声を上げた。痛みに一瞬、呼吸が止まる。
「っは、ヴァルト様……一体何を……」
涙目で見上げると、リーゼロッテは執務机の上に乗せられて仰向けの状態にされていた。
両手首を縫い付けるように押さえられ、天井を見上げたまま身動きが取れない。覆いかぶさるような姿勢で見下ろすジークヴァルトと、リーゼロッテは目を合わせた。
机の上に積んであった書類の山が、バランスを崩して滑り落ちていく。
それには目もくれず、ジークヴァルトは深い青の瞳でリーゼロッテを見据えている。無表情の顔はいつも通りだ。いつも通りのはずなのに――
「あなたは……誰?」
「ヴァルト様……?」
続いている息苦しさに不安を感じて、リーゼロッテはジークヴァルトに手を伸ばした。
「えっ……?」
その手を取ろうとして、リーゼロッテは逆に手首を掴み取られた。乱暴に腕を引かれ、リーゼロッテはたたらを踏みながら引き寄せられる。
ジークヴァルトはもう片方の腕も掴んだかと思うと、無言のままリーゼロッテを荷物を扱うかのように無造作に持ち上げた。
「いった」
背中が打ち付けられる衝撃に、リーゼロッテは思わず声を上げた。痛みに一瞬、呼吸が止まる。
「っは、ヴァルト様……一体何を……」
涙目で見上げると、リーゼロッテは執務机の上に乗せられて仰向けの状態にされていた。
両手首を縫い付けるように押さえられ、天井を見上げたまま身動きが取れない。覆いかぶさるような姿勢で見下ろすジークヴァルトと、リーゼロッテは目を合わせた。
机の上に積んであった書類の山が、バランスを崩して滑り落ちていく。
それには目もくれず、ジークヴァルトは深い青の瞳でリーゼロッテを見据えている。無表情の顔はいつも通りだ。いつも通りのはずなのに――
「あなたは……誰?」