ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 リーゼロッテに関しては、王家からは余計なことは詮索しないよう言い含められていた。リーゼロッテが背負う運命がいかほどの物なのか、フーゴには推し量るすべはない。

 フーゴとクリスタは結婚して八年間子宝に恵まれなかった。ふたりがあきらめかけていた頃、リーゼロッテの養子縁組の話が王家からやってきた。フーゴはおおいに戸惑ったが、クリスタは純粋に喜んでいたようだ。

 三歳のリーゼロッテは天使のように愛らしい少女だった。よく転ぶ子供だったが、聞き分けがよく、沈みがちだった領地の屋敷が、リーゼロッテの存在で随分と明るくなったのを覚えている。

 間もなく、クリスタの懐妊がわかり翌年ルカが誕生した。ふたりはリーゼロッテが幸せを運んでくれたと思っている。

 本当の娘だと思って今まで大事に育ててきた。ただただ、フーゴは、父として、リーゼロッテの幸せを願わずにはいられなかったのである。

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