ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
「お嬢様、ドレスはいかがなさいましょう? 公爵様からいただいたドレスはいくつかございますが……」
「袖を通すだけで卒倒しそうだわ」

 困ったように眉を下げて、リーゼロッテはため息をついた。

 リーゼロッテはまず外出しないので、よそ行きのドレスなどほとんど持っていなかった。普段は、屋敷の中で転んでも大丈夫なように、動きやすいシンプルなドレスばかりを好んで着ている。

 お茶会の開催は数日後、今からドレスを仕立てている時間はなかった。決死の覚悟で公爵のドレスを着るか、既製品で乗り切るか。

 しかし王妃の招待のお茶会に既製品で行くとなると、ダーミッシュ家の名誉にかかわるだろう。見る人が見れば、どこで仕立てたドレスかなどはすぐにわかってしまうのだ。

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