ふたつ名の令嬢と龍の託宣
◇
部屋に戻ったリーゼロッテは、エマニュエルの淹れた紅茶で一息ついていた。
「エマ様。グレーデン様は……どういった方なのですか……?」
普段は人の悪口など口にしないリーゼロッテだったが、躊躇した後、うつむきがちに小さな声で付け加える。
「わたくし、あの方が……少し苦手かもしれません」
その様子にエマニュエルはやさしく微笑んだ。
「エーミール・グレーデン様は、誇り高い貴族の典型のような方ですね。悪い方ではないのですよ。旦那様のことを崇拝してらっしゃるし、裏表のない真っ直ぐな方ですわ」
エマニュエルは自分も紅茶を一口含むと、フフッと笑った。
「あれでいてお可愛らしいところもあるのですよ。旦那様とアデライーデ様のはとこに当たる方ですし、子供の頃はヨハン様やマテアスなどとも一緒に遊んでいた時期もありました」
「まあ、そうなのですね」
「ええ……ですが、グレーデン侯爵家は昔から厳格な家風であると有名なお家柄。その家でお育ちなったエーミール様が、あのような態度を取られるのは無理もないことですわ」
「そう……エマ様がそうおっしゃるのなら、悪い方ではないのね……。わたくしの勝手な印象で、グレーデン様を悪く言ってしまったわ……」
落ち込むように言うリーゼロッテに、「あら」とエマニュエルは笑いながら言った。
「そのようにお気に病むことはございませんわ。エーミール様がいけ好かないのは子供の頃からですもの。昔から公爵家の使用人のほとんどの者に嫌われていますから」
ここだけの話ですよ? とエマニュエルはいたずらっぽくウィンクしてみせる。
部屋に戻ったリーゼロッテは、エマニュエルの淹れた紅茶で一息ついていた。
「エマ様。グレーデン様は……どういった方なのですか……?」
普段は人の悪口など口にしないリーゼロッテだったが、躊躇した後、うつむきがちに小さな声で付け加える。
「わたくし、あの方が……少し苦手かもしれません」
その様子にエマニュエルはやさしく微笑んだ。
「エーミール・グレーデン様は、誇り高い貴族の典型のような方ですね。悪い方ではないのですよ。旦那様のことを崇拝してらっしゃるし、裏表のない真っ直ぐな方ですわ」
エマニュエルは自分も紅茶を一口含むと、フフッと笑った。
「あれでいてお可愛らしいところもあるのですよ。旦那様とアデライーデ様のはとこに当たる方ですし、子供の頃はヨハン様やマテアスなどとも一緒に遊んでいた時期もありました」
「まあ、そうなのですね」
「ええ……ですが、グレーデン侯爵家は昔から厳格な家風であると有名なお家柄。その家でお育ちなったエーミール様が、あのような態度を取られるのは無理もないことですわ」
「そう……エマ様がそうおっしゃるのなら、悪い方ではないのね……。わたくしの勝手な印象で、グレーデン様を悪く言ってしまったわ……」
落ち込むように言うリーゼロッテに、「あら」とエマニュエルは笑いながら言った。
「そのようにお気に病むことはございませんわ。エーミール様がいけ好かないのは子供の頃からですもの。昔から公爵家の使用人のほとんどの者に嫌われていますから」
ここだけの話ですよ? とエマニュエルはいたずらっぽくウィンクしてみせる。