ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 ある時、となりの国がせめてきて、戦争がはじまりました。
 そしておおくの人が死にました。

 人々は、星読みの王女に戦争を終わらせるよう祈ってほしいと願いました。
 王女は心の限り祈りましたが、神さまの声が届くことはなく、戦争は長くつづきました。

 神さまの声を届けない王女に、人々は腹をたてました。
 そして、王女をわざわいの龍へのみつぎ物にせよ、という人があらわれたのです。
 神の声を聞く王女なら、龍の怒りもしずまり、戦争も終わるではないのかと、人々は口々にいいました。

 その声は王女の耳にも届くようになり、心を痛めた王女はみなのために、みずから龍のもとへと旅立つ決意をかためました。

 王女をあわれに思う者もいましたが、ほとんどの人は、王女の命がこの国をすくってくれることを願っていたのです。
 神さまの声が聞けなくなった王女は、人々のためにできることがあるならばと、よろこんで龍のもとにおもむきました。

 おつきのものは皆、王女を置いて逃げ出して、龍の住まう神殿に王女はひとり残されました。
 目の見えない王女は、その先にさびしげな光を感じて、まよわず進んでいきました。

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