ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「リーゼ、ドレスは決まったの?」

 クリスタがリーゼロッテの様子を見に部屋を訪れた。

「まあ、お義母様。足を痛めてらっしゃるのにご無理をなさってはいけませんわ」
「ダニエルがいるから大丈夫よ。それより、ドレスはフーゲンベルク家からいただいているのでしょう? どれにしたの?」

 ちょっとウキウキした口調でクリスタは聞いた。

「奥様、それがあいにくと、公爵様から頂いたドレスはどれも冬物か夏物で、今の時期に合うものがなかったのです」

(ナイスよ、エラ!)

「あら、そうなの? でも、そのドレスは数年前にあつらえたものではない? ちょっとデザインが子供っぽくないかしら」
「そこはわたしにおまかせください、奥様。お嬢様の魅力を最大限に輝かせるドレスに仕立て直して見せます!」
「でも、あと数日しかないし、やっぱり公爵家から贈っていただいたどれかにしてはどう? 確か、薄いブルーのドレスがあったわよね。今の時期になら、合わないことはないのじゃないかしら?」

 義母のその言葉にリーゼロッテは慌てたように目を潤ませる。

「お義母様、わたくしどうしてもこのドレスが着たいですわ。はじめて仕立てていただいたドレスですもの。こちらでお茶会に出席したいのです」

 両手を胸の前で組んで、リーゼロッテは懇願するように言った。

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